AIR JORDAN 33 Performance Review

AIR JORDAN XXXIII (33) PERFORMANCE REVIEW
 エア ジョーダン シリーズ第33作目 "AIR JORDAN XXXIII (エア ジョーダン 33)" をレビュー

 1985年に初代モデルが発売されたAIR JORDAN,33代目のモデルとなりました

 NBA 2018-2019シーズンでも多くの着用者が見られ,さらに新テクノロジー搭載とあって否が応にも期待が高まる今作

 今回はsum213さん(@sum213213)にレビューしていただきます!




エア ジョーダン 33. Nike.com
 カラーは ホワイト/メタリックゴールド/ブラック/ヴァーストグレー, 通称 "FUTURE FLIGHT"

 "Flight Utility" というコンセプトの下でデザインされた"AIR JORDAN 33"

 宇宙飛行士のスーツにインスパイアされたカラーリングに,ジョーダンブランドの伝統であるレッドをプラス

「全てが実用的であり,それぞれの要素と機能が明確にわかる」「多くの可動式パーツを組み合わせることで1つのシステムを構築している」という宇宙服の機能を取り入れたとのこと

 デザイナーはRoss Klein(ロス・クレイン)とテート・キュービス(Tate Kuerbis)

 ロス・クレインはアンダーアーマーの"UNATOMIX SPAWN"などをデザイン,テート・キュービスは"AIR JORDAN 18"のデザインで知られています

 この"Flight Utility" というコンセプトは今後リリースされるであろう"Jordan Apex-Utility"などでも発揮されそう





#SoleWatch. @unclejeffgreen starting off the new season in the Air Jordan 33
 Nikeの英知が結集され,これまでに画期的な新テクノロジーが開発され続けてきたエアジョーダンシリーズ

 AJ31以降,過去のAIR JORDANモデルに着想を得ていましたが,今作でも大きなシュータンや,ヒールにあしらわれた"NIKE AIR" のクラシックロゴ等, ティンカー・ハットフィールドが手がけ1988年にリリースされた"AIR JORDAN 3"がデザインソースになっています

 そして今作 "AIR JORDAN 33"では,レーシングシステムに焦点を当て"FastFit"と名付けられた新テクノロジーが搭載されました





Designing Jordan Brand's Future 
How FastFit works: (ファストフィットテクノロジーの仕組み:)

1.Loops on the tongue and heel allow easier entry(シュータンと踵のループで足が入れやすくなっています)
2.The tightening system activates its cables with a single tug of the forefoot strap, creating a full 360-lockdown(フィットを締めるシステムは,前足部のストラップを一度引いてケーブルを動かすことで,全方向から足をシューズに固定(ロックダウン)させます)
3.Eject by pulling the side loops to release the cables(サイドループを引くとシステムが解除されケーブルが緩みます)

 …とのことで,従来のシューレースによるシューズへの足の固定ではなく,ストラップを引くでワイヤーを引っ張り足全体を固定するという新システム

 指一本で締めたり緩めたりでき,なおかつ素早い着脱も可能





Sneaker Nerds Will Love the New Air Jordan 33 Built With a Progressive Lace Technology
 (前足部のストラップを引いて,ファストフィットを動作)


画期的なレーシングシステムを採用した Air Jordan 33 のビジュアルが解禁
 (横内側の黒×黄のケーブルを引き,ファストフィット解除)

百聞は一見にしかずということで動画にて確認してみましょう










Jordanさん(@jumpman23)がシェアした投稿 -





 この締める⇒緩める⇒締める⇒緩めるという動作はゲームの間にも繰り返すことが可能で,休憩の時には緩めプレーが始まれば引き締めるなども可能とのこと(動画の通り,厳密に言えばその前に赤のストラップを引っ張り手動で内側をロックダウンします)

 タイムアウト中にすぐシューズを脱いで,ゲーム開始寸前に急いでシューズのひもを結んでいたデニス・ロッドマンが思い出されますが…

 デザイナーのテイト・カービスが「"pull on and go(引っ張ってゴー)"」と呼ぶ,履き心地の変化を実現させました





An Exclusive Look At the First Laceless Air Jordan
 ワイヤーは実質アッパーの3箇所を通るだけのよう

 デザイン画では以前にレビューした"LEBRON SOLDIER 9" の前足部ストラップと近い場所でロックダウンさせようとしているように見えます

 FastFitテクノロジーを用いることで,デザインの中にアートとサイエンスのバランスを取り入れたとのこと





Lock-In and Prepare to Fly with the Air Jordan XXXIII
 マイケル・ジョーダン本人から「FastFitシステムを隠さないでほしい」というリクエストがあり,

 外見的なデザインだけでなく,AJ3に初めて搭載された「見える」ビジブルエアのウインドウを模して作成されたとのこと


An Exclusive Look At the First Laceless Air Jordan
 まるで時計の分解図に見えます,これがシューズのロックダウンシステムだとは…

 ファストフィットシステムだけでなく,その他"NIKE Zoom VaporFly 4%"と同じプロセスで作られている最新版"FlightSpeed"がミッドソールに搭載

 「ジョーダンブランド史上最も革命的なシューズ」「地上最強のバスケットボールシューズが新たな歴史を刻む」なんて大袈裟な謳い文句もあながち嘘ではなさそうなぐらい

 デザイナーは最終デザインに到達するまでに60足以上のバージョンを試作したそうです

 9/27より中国にて先行販売,その後10/18より北米展開,11/2に遂に日本での販売がスタートしました

 各所を見ていきましょう





負荷のかかる部分はレザー素材に
 アッパーはメッシュとレザーのオーバーレイ

 シュータンとヒールパーツは毛足の長いヌバック素材で出来ており,ナンバリング"33"を横配置したタブが装着

 同様の素材は他選手と接触しやすいサイド部分にも使われています

 PFはEPと比べ特に前足部の幅が広い認識でしたが,個人的には特にそんな感じもなく,幅よりも長さの面で若干の余裕がある程度

 同じPFである"JORDAN WHY NOT ZERO.1"とは違い,WHY NOTは前足部の広さをしっかり感じることが出来るほどの広さがありました

 AJ33はPFでありながらタイトな作りかと,めちゃくちゃ足入れしにくいです…





イン側は確かに宇宙っぽい
 イン側にはタンと連動する赤いストラップがありこちらは手動で調整

 中央全足部を覆う白いパンチング加工されたレザーに金色のワイヤー始点部分があり,前段階としてリリース用の紐を引っ張りながらシュータン部分をグイッと広げて履き口部分の余裕を確保し,結構な力で足をねじ込みます

 問題の履き心地ですが,一度足を入れてしまえばそれだけでフィット

 踵の抜け感もほぼなく,足さえ入れてしまえばすぐにでもプレー出来そうなフィット感です

 "EJECT"と書かれた矢印先にFastFitを緩める黒×黄のケーブル





ぐぐぐっと引っ張ります
 実際に足を入れた後の"FastFit"によるロックダウンは事前発表の通りシュータンのジャンプマンロゴの下部にあるロックダウン用の紐を引っ張ると"カチカチカチ"と音を立てながらワイヤーが締められていきます

 これ,恐らく一度のPull動作で一気に締め上げるやり方ではなく,軽く何度もPullしながら好みのフィットが得られるまで調整していくのが正しいやり方ではないかと思います

 ロックダウン機構については、前足部は「これでもか!」というほど締め上げることが出来ました(幅広・甲高の方はほぼ締め上げることが出来ないようですが…)

 しかし,FastFitシステムで調整可能なのはあくまで前足部だけ

 ヒール部のフィットについては,どれだけワイヤーを締めても足入れした瞬間の具合からほぼ変わらず,内側の赤いストラップでシュータンと密着させるように固定するだけです

 とはいえ,締め付ける力が弱くフィット感が得られないということは基本的にないかと





"EJECT"
 不安要素もいくつか

 例えば,自分で好みのフィット感までワイヤーを締め上げワイヤーの張り具合がMAXの状態でプレーし,シューズが屈曲したらワイヤーは動作についてきてくれるのでしょうか?

 もしくはインサイドプレーで他のプレーヤーに足を踏まれることもあるのですが,そういう時にはどうなってしまうんでしょうか…?

 ワイヤーは前足部のアッパー上に剥き出しですが,一定以上の力で引っ張られた場合にワイヤーは戻るのか,それとも固定されたままなのか…(動作についてこない前提でワイヤーを締め上げるのか)

 NIKE側にはこういう所の情報を発売前にもっとリリースしてほしかったですね

 海外のレビューでは締め上げた後にワイヤーの始点部分がアッパーから外れた画像もアップされており,少々不安

 ポリエチレン素材のケーブルとのことで強度的にはしっかりした作りになっているらしいですが,はっきり言ってワイヤーの見た目は華奢で心許ないです

 「ワイヤーを強めに締めていたら,プレー中にワイヤー切れた…」なんていう嫌な報告が出てこないことを祈ります…





いい色合いのインソール
 レッドカーペットのような色合いのインソール

 ヒール部分は2~2.5mmほど周囲が高くカバーされているだけで,踵の動きを制限する機能はありません

 足入れした際に踵の動きや抜け感が気になる場合はSuper feetやBaneなどのヒールカップタイプのインソールに交換するのが無難





タン以外にはジャンプマンロゴがないシンプルさ
 ミッドソールはPhylon(ファイロン), 前後にZOOM AIR

 ヒールエアバッグは"LEBRON 12"に搭載されていた六角形型エアバッグ "HEX POD"

 FastFitシステムのギミック部分がアウトソールに可視化されて搭載されたせいか,ソールそのものは見た目以上に厚い

 ソールの屈曲性はなくFoampositeシリーズに近い硬さ,結構な力で押し付けてもほぼ曲がらずいざ曲がるときにはワイヤー部分より前で屈曲する作り

 プレーヤーの動きによるシューズの屈曲がワイヤーに干渉しシューズの寿命を縮めてしまうようなことは無さそう

 硬いと感じるのはFlight speed のカーボンプレートのせいもあるかもしれません

 ソールの硬さがクッション性能の低下に直結するわけではなく,前後に搭載されたズームエアがしっかりと機能し平均以上の衝撃吸収性を備えています

 強いて言うなら,フラットなソールを好むプレーヤーは好き嫌いが分かれるポイントになるかもしれません

 どちらにしてもマイケル・ジョーダン本人が強く望んだ【素足感】というのは,今作では再現されていないと結論付けるしかないようです





可視化に次ぐ可視化
 アウトソールは"KOBE A.D. NXT 360"のようなマイクロパターン

 前後エアバッグの位置がラインマーキングされており機能の可視化への執念を感じます

 近年のAJシリーズのグリップ力に少し不安を感じていたのですが,今作のグリップは他のトランスルーセントソールのNIKE製シューズと比べても遜色無いレベル

 asicsなどの粘性を持ったソールのように凄くグリップして止まるというわけではありませんが,平均点というところでしょう

 良い状態のフロアでなくとも,スキール音もしっかり鳴って間髪入れずに止まってくれます

 AJ31のような,スキール音はするけど滑って止まらないという現象は起きにくいかと





クリーンなボックス
 シンプルでクリーンなホワイトボックス, 最近黒系のボックスが多かったので何気に嬉しいですね





ちょこん
 "ENGINEERED FOR FLIGHT" のタブが付いていたり芸が細かい…





ピッカピカ
 いつもの薄いペーパではなくNASAシートのような銀紙に包まれており,ただならぬ雰囲気

 蓋が分割できるタイプのボックスです





鎮座しておられます
 うん…単純にかっこいいです





説明書も付属
 装着方法の説明書が付属,これまた宇宙っぽい















AIR JORDAN 33 OVERALL
 192cm/86kg/30.5cmの私にとって,まず何よりも懸念すべきはEP・PF・PFXなどの幅広ラストの加減でした

 サイズは自身の足が幅広・甲高でなければハーフ~1サイズダウンで問題ないと思いますが,可能であればまず試着するべきかと(買ったはいいけど足入れ出来ないなんてことが起こる可能性があります)

 日頃テーピングやサポーターを着用するプレーヤーの場合,特に要試着な一足

 ネット上には履き手の足型が幅広・甲高であるためか,FastFitシステムが公式動画のように十分に使えず満足がいかないというような意見も散見されます

 もちろん,それもユーザーの意見の一つですので否定はしません どうせならプロモーションのように,思う存分ロックダウン用の紐を引っ張りたいですからね…



 片足分の重量は30.0cm(US12)のPFモデルで553g(19.5oz)

比較対象として計測した"JORDAN WHY NOT ZERO.1"は30.5cmのPFXモデルで502g(17.7oz),"LEBRON XV"の30.0cmグローバルラストが515g(18.1oz)

 予想はしていましたが,見た目の重量感はしっかり数値にも反映されているようです

 実際に軽量すると他の同等サイズのシューズより10%増しで重いという現実…文章で書くとなかなかエグいものがあります…

 しかし,プレーの中ではそこまで気になる程の重さではないかと



 新テクノロジー"FastFait"の搭載によって,サイズ合わせに難があること,ヒール部のフィット感の調整が難しいなどのデメリットもありますが,

 一部のKOBEシリーズのようなドロップインタイプのインソールではフィットの調整はほぼ不可能なので,細かいシューズ内の隙間調整などはまだ今作の方が融通が効くかと

 シューレースを排した奇抜なデザインと"Fastfit"という新機能にだけ注目されてしまいがちですが,前後に配置されたZOOR AIRやFlightSpeedなど,NIKEの最先端技術もしっかりと搭載され,バッシュとしては十分に高機能な部類に入ります

 一言でいえば今作はバッシュとして大いにアリ,正統なJORDANのナンバリングシリーズの最新作だと言えるでしょう










 以上,sum213さん(@sum213213)のレビューでした,sum213さん本当にありがとうございます!!

 RINGKNOWSRING.comではバッシュ,バスケギアのレビューをしてくださる方を募集しています!!

 我こそは,という方はtwitter(@RING_KNOWS_RING) やinstagram(@RING_KNOWS_RING)からメッセージをお願いします!

 レビューしてくださった方にはささやかなプレゼントがあるとかないとか…?! お楽しみに!!





#SoleWatch: @mconley11 warming up in his Air Jordan 33 PE





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