JORDAN ULTRA.FLY Performance Review |
ジミー・バトラーが着用し,川もビールも緑に染まる3月17日 セントパトリックスデーでのデビューでしたが,惜しくもCHIはプレイオフを逃してしまい…
あまり話題になっていない感がある残念なシューズです…
http://solecollector.com/news/2016/03/jimmy-butler-debuts-jordan-ultra-fly |
カラーは ブラック/ハイパーターコイズ/リフレクトシルバー, デザイナーは Justin Taylor(ジャスティン・テイラー)
ジャンプマン自体がリフレクターって実は珍しいですよねー 自分が知る限りではこのモデルの他にはXX8"Christmas"だけだったりします
ハイパーターコイズはMUSEUM 23 TOKYO限定のSPIZ'IKE iDと同じカラーかな?と思いましたが,現場で撮ってきた写真を見返すとペパーミントグリーンとあるのでまた別でした
JordanだとAJ 4やSON OF LOW,また別のSPIZ'IKEなどでも似たようなカラーが使われてましたよね(ちなみにAJ 4はグリーングロウ,SON OF LOWはミントグリーン,SPIZ'IKEはライトポイズングリーンだそうで… ややこしい…)
サイドのジャンプマンが印象的な "JORDAN ULTRA.FLY"
アッパーはKurim+メッシュ, ミッドソールはPhylon, フロントのみズームエアユニットというまぁ無難なセットアップ
5/8カット, Uスロートのミッドトップデザインです
最近の土踏まずが浮いている通称「下駄ソール」ではないJordanは久しぶりですね…
各所を見ていくと,
ボコボコ、デコボコ |
アッパーはメッシュに成形ラバーであるKurimを肉抜きしながら貼り付けてあり,KOBE 3に近いものを感じます
自分は"Free Trainer 1.0"にてKurim素材のシューズは経験済みでした
ただ,Free Trainerではデザイン重視のためかメッシュのアッパーに「Kurimポッド」という名称で六角形状のKurimが貼り付けられていただけでした
ナイキテニスラインから出ている "NikeCourt Air Zoom Ultrafly" でも「エンジニアードクリム」という名称で,魚のヒレのような形のKurimがトゥを覆うように貼られています
偶然ですがどちらも名前はULTRA FLY…
他選手と接触しないスポーツでも,メッシュオンリーのアッパーよりは負荷のかかる部分の耐久性が上がることによるメリット,そして素材がラバーということもありかなり自由なデザインができるのでこれからのモデルにも期待できそうなテクノロジーかなーと思います
ちなみに, Yeezy 2 "Red October"や KOBE 9 KRM EXTで使われていたアッパーもKurimであろうと思われます. 後者は名前にKRMと入っていますしね
アッパー全面がメッシュであり通気性は良く, 全体を覆うKurimの剛性は相当あります
ただ, 最近のadidasのニット素材モデルやナイキのフライワイヤーを搭載したようなモデルに比べると圧倒的にフィットしません…
公式では「肌のようなフィット感」と謳ってますし, レビューサイトでは「Second Skin(第二の肌)」などと言われてますが, それは絶対にない!!. これに関しては使えば馴染むというわけでもなさそうですしねー…
裏地の足当りは良好, 内部で指や中足側部が当たって痛いというようなことは終始ありませんでした, そういう意味ではフィット感は良好と言えます
しかしケージ状のKurimの成形からか,シューレースホール周りが特にフィットせず,プレイしている最中もつま先付け根あたりがペッコペコ…ペッコペコ… 走るとペッコペコ… ですが,Kurimの硬さと配置による高い剛性でサポートはされている感覚があります
体育館に着いて,着替えて,シューズを履き,ストレッチをする ここまでは違和感がない(むしろフィットしている)のですが,さて練習とひもを結んで走ると急にペッコペコの違和感が… とはいえタンの厚さでなんとかなってはいます
ペコペコの違和感はありますが,剛性は確保されているのでひしゃげるようなことはないです
リムに向かってさかんにドライブをしかける,左右にガンガン切り返していくタイプのプレイヤーには合っていると思います
同じくKurimアッパーの"LeBron 13 ELITE"では
「屈曲性が必要な部分は素材の重なりを薄く サポート性が必要な部分は厚く仕上げている」とのこと
トゥからアンクルにかけて変化するKurimのパターン |
トゥは左から右にかけてKurimケージの形状に差があります |
ULTRA.FLYの場合 「Kurimは計算されて配置されている」とのことですが,厚みは調整されていないためかあまり効果を感じません… 耐久性は高いであろうと思われます.
このジャンプマン,一回使っただけで全て剝げますので注意… |
ジャンプマンがプリントされたインソールはOrtholite(オーソライト)
せっかくモチモチした感触なのにちょっと勿体ない気がしますが,ヒエラルキーによる「わざと金かけないパターン」と思ってあきらめましょう… $200のJORDAN XXXのインソールにはアウトソールと同柄の全面ラバー加工をするが, $125のULTRA.FLYには一発で剥がれるロゴプリントのほかには何もしないのだと…
とはいえインソールのすべりはソックスとの相性もあると思いますし, 個人差なので,こりゃ駄目だなと思ったらインソールを替えてみましょう(ソックスを変えるのもアリかなと思います,個人的にはNIKEエリートソックスはすべりやすい気がします)
ミッドソールはPhylon(ファイロン), フロントがZOOM AIRユニット
履くと指先付近でミッドソールが盛り上がっているのを感じます
フロントクッションは海外サイトで言われるほど悪くないですが(後述します)ファイロンが硬めな上,ソールのラバーが固く,体重が乗ってもエアバッグが沈みづらいです
反発しないわけではないし効かないわけでもないんですがねー, 公式で謳われている通り「無駄のないクッショニング」,言ってみれば「悪い意味でダイレクト」なのかなと.
ここは人によって不満が残るかも…
フロントのズームエアユニットはエアが分割された "Articulated ZOOM AIR"
フレキシブルに動くことを考慮されているようで,"CP3 IX"と共通の9ピースユニット
ユニットの上はにうっすらとZOOMの刻印が…
リアはファイロンのみですが,インソールがモチモチな素材なのもあってそこまで悪くは感じません
http://www.hk-kicks.com/forum/showthread.php?p=521868 |
分解画像です
とはいえこれ以上縦横を大きくするのはスペースの関係上難しいのでしょうけどね…
KD8のフルレングスのようにエア面性が大きい場合に負荷がかかる部分を分割するのは賛成なんですが,小さめのフロントユニットを分割するのは賛否が分かれそうな気がします
ずんぐりしてます |
アウトソールはフラット, パターンはサイドまでせり上がった全面ウェーブボーン
素材はこのモデルだとトランスルーセント, パターンは一般的なものですが,いかんせんラバーの材質が硬い…そして粘性がない… のでコートに吸いつくようなことはなく,言ってしまえばトラクションは悪い
海外のレビューでは「バスケットボールシューズではなくストリートシューズだ」とのコメントがありましたが,確かに屋外のストリートコートで使う方にはかなり合うと思うんですけどねー
体育館でしかバスケしないよーという方はソリッドラバーのモデルを選んでみても… とは言ったものの,nike.comだとすでに売り切れ
楽天などでは定価でちょくちょく売っていますので,そちらを選んでみてもよいかもしれません
XDRではないものの,ソールの耐久性は確実にあると思います.
数回使用したくらいではエッジが傷つくこともなく無問題, KOBE 9などでは一度使用するだけで縁がポロポロ剥がれてましたからね…
このアウトソール, ジャンプマンが逆向きなのがグッときてしまいました
XX8やM10でもフライトプレートに同様の逆向きジャンプマンがプリントされていましたが,いいですよね…
「このジャンプマンが見えた時…お前はもう抜かれている…」的なことなのでしょうか…
(ケンシロウの顔をバトラーに、ジードの顔をレブロンにしようと思いましたが笑) |
XX9とのソール比較 |
エアユニットの形状がスクエアに近づき, 若干後ろに移動しています
エアユニットのポジションはできる限りトゥに近い方がいいと個人的には思うのですが, ユニットの破裂云々で無理なんでしょうか
大きさ, 位置, 容量, それぞれが微妙なバランスで,なかなか「すごくいい!」とは言えないのがもどかしいです
意外と軽いです |
重さは401g (14.1oz), サイズは29cm (US11) マイサイズで大丈夫でした
このようなスコアに… |
正直なところ,足当たりは最新モデルっぽくはないです
ただ見かけによらず軽いですしクッション自体もレトロモデルとは違いますから,走り出すとやはり変化 いや,進化を感じます
Kurimオーバーレイによる耐久性・必要十分なクッション・デザイン,これらに加えて軽さを損なうこと無くホールドさせているという意味ではまぁアリな一足かと.
とはいえ価格はちょっと納得できないものがあります
本国USでは$125ですが,日本国内価格だと¥16,200… 1ドル120円換算だとすると妥当かな?と思わなくもないのですが,2016年6月現在だと1ドル104円,換算すると¥13000ですからねー… うーーーん…
ナイキ公式だと売れ行きはビッミョー… 現在余っているカラーは確実にクリアランス行きと思われます(仮にクリアランス行けば¥12,000くらい?でしょうか)
どうしても欲しいカラーがあるのならサイズ切れする前に買ってもよし程度でしょうか…
自分はポイントを少し使いほぼ定価で買いましたが,お買い得感はマジでなく…「コスパ低いなぁ~ けどデザイン好きだしなあ~」的な感想です
どーーーん |
一言でまとめると "KYRIE 1+2 ver.JORDAN BRAND"
ウルトラフライもソールに関してはほぼ同様のセットアップといっていいですかねー
とはいえストラップはありませんのでホールドはカイリー2に軍配が上がりますが,軽さではウルトラフライが40gほど軽いです
外付けヒールカウンターがないことを除けば,フレキシブルに動けるように足首周りの成形が広めだったKyrie1にも近いかなーと…軽量で剛性ありますしね
捻挫しがちな方はアンクルブレース必須かと…足首周りは本当に悪い意味でKyrie1っぽいです
頑丈です |
耐久性を犠牲にした脆いシューズが多い最近のバッシュシーンですが,このULTRA.FLYは部活生向きだなーと思いました
シューズってボロくなってくるといきなり愛着が薄れてくるので個人的に耐久性はかなり重視してます
ストラップなかったら似てますよね… |
先日,こんなまとめを作ったのですが
新作がでるたび「なにか違うんだよな~~」と思ってしまうSUPER.FLYシリーズよりは今作ULTRA.FLYの方が自分には合いました…が,こう見るとNBAプレイヤーの評価はあまり高くないのかも知れませんねー
まぁ契約もあるでしょうしそもそも私たちと体格が違いますから…うん… たくさんのスニーカーサイトが追っていることからも,NBAプレイヤーがどんなシューズを選び,履くのかは注目されているのでしょうし個人的にも気になるところですが,それが我々のシューズ選びの参考になるかというとまた微妙な話ですねー…
いろいろ書きましたが,デザインはいいと思うよ… うん…