NIKE KOBE AD NXT 360 Performance Review

NIKE KOBE AD NXT 360 Performance Review
NIKE KOBE AD NXT 360 Performance Review
 コービー=ブライアント シグネチャーモデル "KOBE AD NXT 360"をレビュー

 リリース直後に海外で購入していたのですが,インソールの耐久性を知りたかったためじっくり履きこんでしまいかなり時間がかかってしまいました…

 ドロップインソールのバッシュ自体が久々でしたが, さてその評価は…?




NEW TECHNOLOGY FOR THE COURTS: NIKE KOBE AD NXT 360
 2018年,MAMBA DAYこと4/13にリリースされた "KOBE AD NXT 360"

 同じNXTと名前がつくものの,以前にリリースされた"KOBE AD NXT"とはまったく異なるつくり,ドロップインソールであることだけが共通しており,他はまったく異なるコンセプト

 おそろしいほどミニマルデザインに徹し尽くされており,サッカースパイクやフットサルシューズのようです


NEW TECHNOLOGY FOR THE COURTS: NIKE KOBE AD NXT 360
 ナイキが"Next Generation of Flyknit(次世代のフライニット)"とまで謳う新テクノロジー "Nike Flyknit 360"で製作されたアッパー

 フライニットが足全体を包み込む完全な「360度」の形状に組み立てられており,つまり 「アッパーの100%がフライニット」

 このアッパーを作るために,ナイキのエンジニアは解剖学的見地から複雑なニットパターンを編み出し, ただ足の形にニットを成形するのではなく熱成形というプロセスも経ることでより正確に足の形状に近づけたとのこと

 正確な成形により足を固定し,シューズ内で足の無駄な動きを減らし,余計な編み込み部分をなくすことで足と地面の間のスペースを最小限に抑え,従来のフライニットからフィット感と通気性を向上させ,なおかつ軽量化と強化も果たしました

 他モデルでも採用されているシステムではありますがバスケットボールカテゴリでは今作がはじめて

 また,さらにすごいのはこのFlyknit 360アッパーに直接アウトソールが貼りつけてある点, つまりミッドソールは排されているわけですね

 よってここでもシューズ高が抑えられており,とにかくほかのシューズよりも圧倒的に低い. そのアウトソールもただ接着されているのではなくアッパーの形状に合わせて巻き上げられており,この特徴的な360アッパーを生かすようデザインされていることが分かります

 ドロップインタイプのインソールシステムを含め,海外サイトでは「テクノロジーモンスター」と形容されていたりもしますがそれも納得のつくり

 EPの展開はなくグローバルラストのみのリリースとなります





@kicksintoronto Kicks In Toronto instagram
 カラーは Black/Black-Muti-Color [AQ1087-002]

 フライニットの特性を生かしたマルチカラーはこのカラー含めいくつかリリースされました,差し色のLALカラーが映える一足

 また,一時期はこのアッパー:マルチカラー+ヒールカウンター:イエローのシューズはいくつかリリースされており,オデッセイ リアクト 2などでも同コンセプトカラーがありました

 各所を見ていきましょう





トゥにはコードが
 アッパーは"Flyknit 360(フライニット 360)"

 つま先部分にシワが入っているというかヨレているのが分かるかと. このシワ部分が足に食い込んできて多少不快感が…中足部から後足部にかけては非常に良好

 "KOBE AD NXT 360"という名の360は360°を意味しこのアッパーにおけるフライニットを表していて,つまりフライニット100%


拆解报告 KOBE AD NXT 360
 まるでソックスというか足袋, エリアによっては透けているぐらいに薄いのがよく分かります

 このアッパーのフライニット,過去のこれまでのフライニットと違い,糸っぽいニットではなくゴワッゴワの手触り





地面に着くようなスウッシュ
 艶消しマットなスウッシュ, 非常にフロアに近い位置に配置されておりシルエットがとても低い

 アンクル側のマルチカラーのフライニットは従来のニットに近く足当たりがやわらかいです,パイピングもニットなので破けることはなくほつれるのでしょうかね…

 この画像だとエリアによってどのように編み方が変えられているかよく分かりますね





くしゃっ
 薄いフライニットアッパーはここまでくしゃっと曲げられます, 「ぐにゃ」ではなく「くしゃっ」という感じ(これはやらないと分からないかも)

 アッパーがとにかく「くしゃっ」とひしゃげるほどに柔らかく,アウトソールも薄いため,後述するインソールで剛性を確保しています





出さずに撮影
 アンクルのニットマテリアルはソフトで足首まわりをしっかり吸い付くようにフィット. トゥまわりのアッパーの感触は多少不快なのですがアンクルエリアは非常に良好

 アンクル内側も特になにかパッドが成形されているわけでもなく, マテリアル含めこのアッパーへの自信をうかがわせます





とんでもない丸さ
 アウトソールに沿って覆うような形状のヒールカウンター(くちびるみたい)

 イン側にコービーのオートグラフが刻印されており,面積も強度もそれなりですが割れたりすることはなく,低いながらもガッチリとかかとを抑えます

 右足にはシースマーク, 左足側には彼がキャリア最大の怪我を負ったアキレス腱の手術跡ステッチ

 こんなにヒールのソールが丸いのに不思議と安定感/一体感があって驚いてしまいます…





取り出すの大変
 インソールにはグラフィックとメッセージが裏にも表にも刻印, 黄色と黒で色が分けられていることも意味があり後述します

 インソール左には
 【YOUR FOOT INSIDE THE SHOE】
 【360 OF CONTAINMENT FLYKNIT ON ALL SIDE】

 右には
 【YOUR FOOT DURING A CUT】
 【THIS PART IS SOFT FOR QUICK CUTS REACT FOAM】

 …と,アッパーとミッドソールについての説明が刻まれています

 ヒールのインソールロゴは左右で異なり, 右はシースマークを円形にした新ロゴ. 左は逆向きの風車ロゴ, マニア歓喜か?と思ったのですが世の中的には誰も気にしていないようで…残念です

 ちなみにこのインソール, がんばって両方御引っ張り出しましたが死ぬほど大変でぶっ壊れるんじゃないかとヒヤヒヤしながら取り出しました…みなさんはやめてくださいね





インソールがアッパーから透けていますね
 ミッドソールは排され,その機能はドロップイン式のインソールに


拆解报告 KOBE AD NXT 360
 こう見てみるとインソールがどうのというよりアッパーの薄さが際立ちますね…インソール直下は2mm程度のアウトソールですからね…薄すぎ…





出すのが大変
 "React(リアクト)""Lunaron(ルナロン)", 二種類のクッション材で構成されたデュアルドロップインソール

 このカラーだと黄色の部分がルナロン,黒色の部分がリアクト. 構成は下の図が分かりやすいですね


拆解报告 KOBE AD NXT 360
 イン側からズズズッとヒールの中央部にかけてリアクトが, そのリアクト周辺にルナロンが配置されています

 この二つのクッションマテリアルは指で押して比べてみると感触がかなり違い,リアクトの方がもっちりと硬い,ルナロンはいつものあのルナロン感のままです


裏にもメッセージが
 ヒールの周辺にぴったりと配置された柔らかいルナロンは個人的には良感触, ルナロンは沈んで足型を覚えるという性質があるので,圧がかかりやすい部分はレスポンスのあるハードなリアクトにし,それをルナロンで囲うというこの配置は結構計算ずくでデザインされている気がします

 KOBE 8やKOBE 9のルナロンインソールのように数回使用しただけで皺が入り沈んでしまうような状態にはならない,リアクトが効いています

 また,裏面に刻まれたセンテンスは 【THIS PIECE IS VERY GRIPPY TO KEEP YOUR MIDSOLE DIRECTLY UNDER YOUR FOOT WHERE IT BELONGS】

 スウッシュ部分には 【THIS SWOOSH MEANS THIS PRODUCT WAS ENGINEERED TO THE EXACT SPECFICATIONS OF CHAMPIONSHIP ATHLETES (このスウッシュはチャンピオンシップアスリートの正確な能力に基づき設計されたものであることを意味する)】との刻印





ここで剛性を確保
 リアクトのもっちりとした硬さだけでなくシャンクプレートの代用となっているこのPUパーツの硬さでインソールの剛性が確保されています

 この透明なプレートには 【THIS PART IS FOR STABILITY AND SUPPORT (スタビリティーとサポートのためのパーツ)】との記載が刻印

 NIKE FREEの屈曲性とまではいきませんがかつてのNIKE FLEXのようなレベルで部分的に屈曲します





ポツポツ
 アウトソールはノジュールパターン

 リアクトクッションエリアを模ったトゥの内側から土踏まず中央に伸びるゆるく描かれたS字のようなグラフィックは「蛇が這う様子」を表しているとのこと

 グリップは満点と言っていいレベルなのですが,ウェットフロアには極端に弱いですので評価が難しいです. コンディションによって使い分けが必要かも…

 イン側とアウト側でノジュールの大きさが異なり, かなり粘性の高いラバーにデザインされたノジュールは本当にミリサイズ. このノジュールの小ささが厄介で,数回の仕様で縁のぽつぽつは全部ちぎれます. 着用者の体格やプレースタイルにもよると思いますが,自分は一度の使用で縁のパターンがほぼすべてポロポロと取れてしまいました

 縁のノジュールがちぎれると今度は内側のノジュールでグリップするためまたちぎれ…という感じ,いずれ全部取れちゃうんでしょうね…この点で耐久性はあまり良くない面はあります(さすがにこの形状だとXDRラバーにした方がいいのかも)





鬼軽
 327g(11.5oz), 28.5cm(US10.5)での計測です

 マジで鬼のような軽さ… すごすぎます…





シンプル
 シンプルなオリジナルボックス. やはり$200を超える価格帯を考えても専用ボックスを用意してほしいですよね










NIKE KOBE AD NXT 360 Overall
 特筆すべきは足型に合わせた特注インソールのようなReact+Lunarlonのドロップインソールのバランス

 この組み合わせと硬さのバランスがとても良く, ダッシュの蹴り出し, ストップアンドゴーの制止時にはリアクトが効いて足全体がブレない. ズームエアのような一箇所集中タイプのクッションよりも足裏全体で衝撃吸収し,反発も強いように感じます. KOBE 8やKOBE 9など過去のルナロンイソールは砂の上を走っているような少し怖い感覚がありましたが,今作はリアクトの硬さが不安定さを消しています

 自分はボールを受けた際に踵から踏み込む癖があるので, このヒールの丸みも気に入りましたが,形状の通り安定感はないので好き嫌いはハッキリと分かれそう…

 アウトソールの耐久性のなさは残念ですが,パフォーマンスを追及した結果ととらえれば納得はできそうです

 このアッパーも中から外が見えるくらいスカスカですが強度はしっかりあるため中で足がブレない(たしかに前足部は少し広いが自分は気にならなかった)

 ただし前述したように,屈曲した部分が甲に食い込んで多少の不快感が… 足との一体感という意味では「フライワイヤー+フライニット」に比べると大きく引けをとり, そもそもフライニット360のガッサガサしたマテリアルが自分にはあまり合いませんでした…というかこれは万人に嫌われる感じのマテリアル…

 もうかなりの回数を着用していますが,KOBE 8やKOBE 9ほど早い段階ではインソールはヘタらない,悪く言えば「自分の足型にならない」ということでもありますがここはトレードオフでしょうか

 耐久性のクソさを除けばコービーシグネチャーでベストはKOBE8だと思ってきましたが,今作でトップの座を塗り替えられた感があります,そのくらい合う…



かっこいいです…
 「バスケットボールシューズ」というカテゴリーの中で過去ここまでミニマルなデザインがあったのだろうか(いや ない!)というレベルの出来です. コービーシグネチャーに限っても過去最高レベルなのでは

 というか一般の人がこのシューズを見てバスケットボールシューズだと判断することは難しいかと…フットサルシューズにしか見えません… スタッドこそないですが本当にサッカースパイクやレスリングシューズのようなフォルム

 これまで書いてきたとおり本当に「ソックスにアウトソールくっつけてドロップインミッドソールぶっこんだバッシュ」で, シルエットはKOBE 8にとても近いですが履いた感触は別物. インソールの剛性が今作の方が断然上で,KOBE 8やKOBE 9で多少感じてしまった「砂の上を走っているような感覚」は大幅になくなっています

 とはいえこれはコービーシグネチャーだからこその高い次元の話であって,軽量のアッパーを支えるソールシステムに重心がかかるため走りやすい, 動きやすい, 止まりやすい, とても素晴らしいシューズであることには間違いないかと. 良いです良いです(耐久性のなさから学生さんにはオススメしません)

 初見時はこのフォルムと方向性,システムに驚き,ここから各カラーをリリースしてくるのだろうなアツいなと思っていたら大して展開されず残念でした… 次作となる最新作"KOBE AD NXT FF"のアウトソールも今作に近いパターンですし,FastFitテクノロジーと融合したコービーシグネチャーも気になります…










SLAM @SLAMonline DeMar is wearing the new Kobe A.D NXT 360 tonight.


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