adidas 98 x Crazy BYW Performance Review

adidas 98 x Crazy BYW Performance Review
adidas 98 x Crazy BYW PERFORMANCE REVIEW
 往年の名作BYW, そのコンセプトモデル "adidas 98 x Crazy BYW" をレビュー

 一部のオタクだけが歓喜しリリース後即購入していたイメージがある今作,adidas Originalsからのリリースであることは分かっているのですが「あえて」大真面目に「バスケットシューズとして」レビューしていきます

 後述しますがこれが本当の「PROTRO」なのではないかと… そんな思いもあります





코비를 그리워하며... 그가 신었던 신발들(213장 스압 완전주의)
 コービー=ブライアント シグネチャーモデル"adidas KB8 II", リリースは1998年でした

 コービーのadidasシグネチャーとしては一作目"adidas KB8(現Crazy 8)"の次作にあたり, コービーシグネチャーにおけるある種の「過渡期」にリリースされたモデルです

 バッシュシーンとしては初代の"KB 8"がデザイン/性能共に評価されていたこともあり,2作目のジンクスのようなもので当時はあまり評価されず人気もなかった印象があります


History of Kobe Bryant's Signature Sneakers
 "adidas KB8 II"のアッパーは異なる素材のパーツが重層的に使われ,サイド外側のクリアパーツとシースルーアッパーからスリーストライプが見えるという変態仕様

 ウェーブ状のソールは"FYW"こと「Feet You Wear(フィーツーウェア)」, あらゆるスポーツジャンルのカテゴリーの枠を超えてadidasの最高峰のテクノロジーを結集し「自然な足の動きを追求しサポートする」という1996年に登場したコンセプト

 adidasがこれまで培ってきた"トルションシステム", "ポッド", "アディプリーン"などの当時のあらゆるテクノロジーを結集させて開発されている集大成的な一足

 そして喧伝されていないものの,いまで言うところのカイリー3における「トラクションポッドサスペンション」のようなアウトソールが採用されており,いま考えると時代を先取りしすぎたモデルだったのかも知れません

 アンクルの大きめなadidasパフォーマンスロゴの入り方も斬新で,個人的には全体のシルエットも好きでした, オリジナルモデルを持っていたため(たぶんまだ実家にある)かなり思い入れの強いです

 また,90年代当時のadidasバッシュはEQUIPMENTラインからのリリースだったため,当時の正式名は"adidas EQT KB8 II", ボックスも茶色と緑のEQUIPMENTボックスでした

 EQUIPMENTは当時,「Best of adidas(ベストオブアディダス)」として位置付けられており, 現在のパフォーマンスラインにあたり,最新テクノロジーを搭載した各カテゴリーに於ける最高機種にのみ名前が冠されていました(ロゴもEQUIPMENT LOGOはadidasの現パフォーマンスロゴ)

 しかし"adidas KB8 II",その次の"adidas KB8 III"がリリースされた後,ネーミングを変更し有名な"THE KOBE (現Crazy 1)"として大幅にコービーシグネチャーは路線変更していくことになります


Hikki Sicks twitter @hikki76
 そしてオリジナルリリースから20年が経ち(!), "adidas 98 x Crazy BYW"としてアップグレードされ復刻された今作

 BYWとは"Boost You Wear"を意味し,前述した"Feet You Wear"をBoostテクノロジーで再構築するというコンセプト,つまり懐かしのKB8 IIにBoostミッドソールをインストールしてみましたという感じ

 前述しましたが,KB8 IIはコービーがナイキと契約したことにより名称が変更され,いま現在は"Crazy 2"として2014年に復刻しています

 NBAではATLのDeAndre Bembry(デアンドレ=ベンブリー)が着用していました(NCAAの時から好きなんですこの選手)





lyst.com - adidas-originals-98-x-crazy-byw
 カラーは Crystal White/Cloud White/Running White[G28390],"Crystal White(クリスタルホワイト)"

 なかなか食指が伸びないオールホワイト,基本的になんでも黄ばむのが嫌いなので,白いシューズは買わないタイプの人間なのですが,こういうレザーアッパーだとニットやフューズに比べると黄ばまないためついつい購入してしまいますね(Boostは黄ばむので何か対策しなければならないかも知れません)

 ただの白ではなくちょっと青みがかったホワイトなのも特徴的ですね

 各所を見ていきましょう





綺麗な白アッパー
 アッパーはレザー+メッシュ

 レザーと言っても,異素材のオーバーレイなのでボリューミーに感じます,これぞ90sという感じのデザイン

 最下部から五カ所のレースループを通り,二カ所のレースホールが存在. Jordan Brandの"Flight Web"的な構造ですが,スリーストライプだけがアッパー下まで伸びています. 一段目と五段目のレースループはステッチがないのが分かるかと

 オリジナルモデルが手元になく,数年前の復刻モデルも買ったはずなのですが倉庫で眠っているため並べて撮影できませんでしたがアッパーはオリジナルに忠実であるようです





曇らないといいですね…

 後述しますがクリアパーツもサイドにせり上がるBoostとそれを覆うTPUにジャマされながらも健在, クリアパーツからスリーストライプの全景は見えなくなってしまいました

 当時は履いているとこのパーツ部分が内側から曇ってしまい若干見た目的に気持ち悪かった記憶があります…





久しぶりのオーソライト
 インソールは"Ortholite(オーソライト)", ここもadidasパフォーマンスロゴがプリント





パフォーマンスロゴが素敵
 ミッドソールは"Boost(ブースト)"

 "Boost You Wear"コンセプトのためBoostミッドソールポッドがインストールされていますが,このソールまわりはadidasが公式に[性能検証済み]として競技用にリリースしている"Crazy BYW LVL X"と同じシステム

 LVL Xは少数ながらNBAプレイヤーも着用していますし,こういう部分で98 x Crazy BYWもadidas Originalsからではなく公式にパフォーマンスラインから競技用としてリリースしてほしかったなあという思いになってしまいますね(このモデルが性能検証の段階ではじかれた可能性もありますが)


今夜比べてみました①アウトサイド
 見づらいですが同じBYWコンセプト1作目の "adidas Crazy BYW LVL I"と比較

 同じBYWソールではあるため造型は同じですが, "98 x Crazy BYW"の外側フロントミッドソールはTPUに覆われフォームが左右にブレないようデザインされています


比べてみました②インサイド
 ミッドソール外側も仕様が異なり,"98 x Crazy BYW"はミッドソールのBoostフォームはアウトソール内に格納されています. つまりフロントミッドソールのBootフォームは目視できません(画像で分かると思いますが,厚みも異なり"98 x Crazy BYW"の方がだいぶ薄く広く,形状も違う)

 Boostミッドソールに乗っているシャンクプレート(サイドにせり上がった波状の部分)を比較すると,"adidas Crazy BYW LVL I"と比べてサイズはほぼ同じではあるものの,98は縁にグルーブ加工, 中央にトルションを意識したであろうキール加工がされており,またプレート自体98の方が厚みもあり硬く,頑丈な仕上がりです(キールが立っているのは下のアウトソール画像で確認できます)

 ちなみにコービーが着用していた当時の"adidas KB8 II"はこのアッパー内側にKBと8を模したロゴがありましたね





名は体を表します
 アウトソールはフロントがヘリンボーンパターン,リアがマッピングパターン

 ソールのラバーは粘性こそあるものの他のadidasのシューズに比べると不満が残る気もするグリップですがコンチネンタル製ラバーではないことを考えると妥当かと.

 画像からもソールの溝が薄めであることが分かりますね, またフロントのアウトソールが分割されていないのも"adidas Crazy BYW LVL I"との大きな違い, そしてシャンクプレートにキールが6本立っているのも分かるかと


adidas Crazy 98 BYW in OG Micropacer Silver Coming Soon
 レビューモデルはソリッドラバーのため,シャンクプレートが見えるトランスルーセントラバーが使われたモデルのアウトソール画像を参照

 中央が太い八の字のような形状ですが, 他のアディダス バスケットボールシューズよりもしっかりした厚いプレートです





Boost的な
 486g(17.1oz), サイズは29cm(US11)です





残念なボックス
 adidas Originalsからのリリースであるためアディダスオリジナルズの青ボックス

 (当時のEQUIPMENTボックスで出してくれたら嬉しかった…)





adidas 98 x Crazy BYW
 自分としては 「90s is 最高」, とにかく素晴らしい…

 あらゆるメーカーのシューズをいろいろ買っていますが,久しぶりにボックスから出した瞬間に感動がありました, とにかく存在感というかシューズの持つオーラがハンパなく,そしてかっこいいのです

 adidasオンラインストアのレビューに「ヴィンテージcarにハイブリッドエンジンを載せて燃費を向上させたような有り難さ」と書いている方がいましたがまさにその通り. この頃のデザインが好きだけどパフォーマンス的につらい!というジレンマを抱えていた人は多いでしょうから,このような形でのリリースは本当に歓迎したいです

 かっこよさだけでなくパフォーマンスも素晴らしい(最新テクノロジーを搭載したバッシュと比較してという意味ではなく)

 メッシュアッパーの外側にレザーのオーバーレイなのでレトロバッシュでありがちなアッパーの厚みによるフィット感の不快さはかなり軽減されていると思います,それでも平均点レベルではありますが,だってこれ1998年のシューズですよ…?20年以上前のシューズなんですよ…?サイドからの写真だと分からないですがアキレスパッドもありサポート感もかなりあります. 素材の面からいって耐久性はかなり高いかと

 大容量のBoostをインストールしているのでやはりそれなりには重いですがそれを差し引いても素晴らしいパフォーマンス, Boostは配置やサイズ的に前後バランスが悪そうだなあと思っていましたが杞憂でした,

 ただ,Boostの厚みがあるので,「ソールが設置している状態でアッパーが横にズレている」感覚はやはりあります. たとえば"harden vol.1"くらいでソールのブレが気になる方は向かないと思います

 オフィシャルには「レギュラーフィット」とされていますがサイジングは要注意,自分はガチガチで履く派なのでいつものadidas通り最初はハーフダウンで購入しましたが,今作に限ってはキツすぎたため買い直しました. そのぐらい小さめに作られているため注意してください(今や店舗にはほぼ置いていないでしょうから試着もできないと思いますが…)

 このシューズに限らずadidasはサイジングが非常に難しいため,基本的には試着必須ですね…返品可能なショップさんで購入するなど対策が必要かも


パフォーマンスロゴ!
 冒頭にも書きましたが,パフォーマンスラインではなくadidas Originalsラインでのリリースなのが残念,このようなチャレンジ精神溢れるモデルは是非バスケットボールシューズであるという誇りを胸にパフォーマンスラインでリリースしてほしいです

 とはいえ,アッパーサイドにはパフォーマンスロゴ, タンにもパフォーマンスロゴ, インソールもパフォーマンスロゴ, アウトソールにもパフォーマンスロゴ…というわけでむしろトレフォイルロゴがまったく使用されておらず, パフォーマンスモデルだぞ!!というこの心意気は買いたいです

 欠点としてはネーミングがわけわからない!

 いま現在は改名し"adidas Crazy 2"なのだから"adidas Crazy 2 Boost"とかで良かった気がします. "98 x Crazy BYW"って… xとかYとかzとか入りすぎ…

 単にミッドソールをBoost化したわけでなくBYWテクノロジーなのだということなのだと思いますけどね…う~~~ん…分かりづらいです. BYWというワードを入れなければならないのならせめて"adidas Crazy 2 BYW"ぐらいにしてほしかった. やっぱりシューズ名はシンプルイズベストです


良いです 良いです
 ナイキのコービーシグネチャーで"PROTRO(プロトロ)"という新しい試みが生まれたわけですが,天邪鬼なものであれはあれで素晴らしい試みだと思い称賛とリスペクトをしつつも,ヒールズームエアをフルレングスズームエアに変更しましたと言われたところで「そんなの最初からフルレングスズームエアにしておけばいいじゃん」としか思わない自分がいたりします

 要は最初から出来たのにもかかわらずコストカットするためにスペックダウンしたと思えてしまうパターンのセットアップがナイキには多いのですよね. 廉価モデルであれば仕方ないと思いますがプレイヤーの名を冠したシグネチャーであれば最初からベストな状態でぶっこんでほしい気がしてしまいます

 そういう意味では今回の"adidas Crazy 2"(あえてこう呼ぶ)のBoost化は本当の意味でのPROTROだなあと思っていたりします. 当時は存在しないテクノロジーですからね

 結局国内で買えるカラーは全カラー買ってしまいました… このシューズが好きな人とは友だちになれる気がします(きっぱり), オススメです

 というわけで長々と書いてしまいましたが,コービーが居なくなった事実を受け止められずこんなモデルをレビューしてしまいました. 2018年のモデルを2021年末にレビューとか狂ってんのかと思われそうですが,来年もよろしくお願いいたします!










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