adidas T-MAC 5 Performance Review

adidas T-MAC 5 Performance Review
adidas T-MAC 5 PERFORMANCE REVIEW
 トレイシー・マグレディのシグネチャーモデル第5作目"T-MAC 5 (ティーマック 5)"をレビュー

 元号が令和となったのが5月ということで,なにか「5」にまつわるシューズをレビューしたいなあと思っていたのですがまさかコイツになるとは…

 今時のスニーカーヘッズはT-MAC自体知らないかそのシグネチャーも知らないか,知っていても興味はないでしょう…が!格好いいと思いませんか…

 今年はMarvelのスーパーヒーローとコラボしたT-MAC1の復刻もあり(日本での販売はなし)また,他のT-MACシリーズの復刻も予定されているようですし,T=MACシグネチャーには今後も期待です!




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 トレイシー・マグレディ(Tracy McGrady)のシグネチャーであるT-MACシリーズ

 今でこそadidasといえばデリック・ローズやダミアン・リラード, ジェームス・ハーデンですが, 2000年代のNBAではadidasといえばトレイシー・マグレディでありケビン・ガーネットでありギルバート・アリーナスでした

 まだ無名だった高校時代に,adidasバスケットボールキャンプで大活躍することで評価を一変させ,その衝撃的な活躍からadidasと契約することになり,数年後にはシグネチャーをリリース,2002年にはアディダスと生涯契約を結び,テレビゲーム「NBA Live 07」のパッケージを飾ったりもしました

 トレイシー・マグレディといえば2004/12/9 のSAS HOU戦で当時リーグ屈指のディフェンダーであったブルース・ボウエンがマークについていたにもかかわらず残り35秒から一人で13得点したり, RSに一人アリウープを決めたりと, 優勝経験こそないものの「記録より記憶に残る」タイプの選手の定番で.2017年にはバスケットボール殿堂入りを果たしました

 ,マグレディはファッションはもちろんシューズデザインや新テクノロジーにとても強いこだわりがあり,"T-MAC 4"で採用されたハグシステムやNBA ALL STAR 2004での元祖バカ履きなど我々にとって忘れられないシグネチャーラインです





 今回レビューするのは5作目である"T-MAC 5",オリジナルのリリースは2005年, デザイナーはKyle Pulli(カイル=プーリー),いまはPONYのデザイナーです

 "Anatomical Fit System"と呼ばれる解剖学からインスパイアされた甲を覆うクロスストラップを用い,オーバーサイズなTPUラップのアウトリガーやウッドマテリアルの使用などが特徴

 今やあまり情報がないためうろ覚えですが,カラーによってヒールカウンターとシャンクプレートに使われたウッドのマテリアルの種類が違ったりといろいろ手の込んだモデルで(このHomeカラーはヒューストンに多く自生するMapleで,Awayカラーはバスケットコートに用いられるHardWoodだったと思います), ローカットモデルもリリースされました

 本人がシーズン初めから着用しアツかったモデル,T-MAC 4はあまり履かれず4.5という謎モデルがリリースされたりもしました

 T-MACシグネチャーシリーズは他ブランドと比べてもデザイン/テクノロジーが一歩抜きん出ており今でも復刻を望むファンが多い…というか熱量がすごいのですね…

 ちなみにこの5はいくつか復刻されているのですが北米と中国だけでリリースされ,日本やヨーロッパではリリースされませんでした

 余談ですが最後に写真を載せておいたChauncey Billups(チャンシー=ビラップス)が履いていた白青赤のトリコロールオールスターカラーが個人的にベスト(販売されず)





SLAM Presents KICKS 8: Houston Rocket Tracy McGrady appeared on the cover of the eighth issue of KICKS Magazine (2005, cover 1 of 3).
 カラーは Running White/Black/Univeristy Red [809942], 通称"Home"

 当時は"Away"とこのホームカラーくらいしか国内でリリースされず残念でした

 現在まででT-MAC5はいくつか復刻されているものの,チャイナカラーのようなものばかりで本当に国内で販売されず…なんなんでしょうか,マジでキレたいですね…

 ちなみに,当時はマグレディ本人が着用するモデルは市販モデルと同じに見せかけて少し変化が加えられており(たとえば上記の画像だと"1"部分がホワイトになっている),毎試合今回はどこが違うかなあなどと考えながらTVに釘付けでした(そしてその答え合わせをするような感覚でHOOPやDUNKSHOOTを買っていた)

 各所を見ていきましょう





ナンバー"1"
 アッパーはシンセティックレザー+メッシュ

 前作のようにシューレースレスではなく,ストラップの下にレースシステムが備わっています

 "adidas COURTSHARK MID"と違うのはここに T-MACの背番号 "1" が入ります(誰が知っているんだ)





パカッ
 一番上に被さっているのは"GEOFIT Strap(ジオフィット ストラップ)"

 これを開けると…


ひらり
 すると出てくるのがマグレディの背番号である「1」がデザインされた"TPU wrap(TPU ラップ)"

 このパーツが曲者でかなり足を圧迫してくるため窮屈なつくり

 また先ほどのジオフィットストラップの内側には"Molded GeoFit pods"という緩衝材がインサートされておりかなりモチモチな感触です


强拆办第二期:adidas T Mac 5强拆报告
 2005年のオリジナルモデると2016年の復刻モデルの新旧アッパー比較

 アッパーのメッシュマテリアルに変更が加わっているのが分かるかと, 凹凸のない平坦なメッシュマテリアルに変更されています

 またタンのパフォーマンスロゴはT-MACのオートグラフに変更(タンのデザインは復刻モデルでもパフォーマンスロゴのものもあり様々ですが)





「オン & オフ」
 アシンメトリーなカット, シューレースは下から二箇所がサイドから伸びたTPUパーツを通ります, 上からこう見ると分かりやすいですね


强拆办第二期:adidas T Mac 5强拆报告
 新旧アッパー比較, アンクルの周りのシルエットがかなり細くなっていることが分かるかと

 タン裏やヒールタブ裏のマテリアルも薄いものに変更されています





ウッドマテリアルの時点でそそります
 ヒールカウンターには内側にウッドマテリアル, くるぶし部分にはエンボスのT-MACロゴ

 ヒールカウンターは低いですが踵のブレは少なく快適, カラー的に見づらいですがストラップ部分には5つのドットがあり,これは単なる締める際の滑り止めの役割だけではなくコートにいる仲間五人を表しています


强拆办第二期:adidas T Mac 5强拆报告
 細かいですがヒールタブも復刻モデルだと少しすっきりした印象, こう比べてしまうとオリジナルはちょっと野暮ったい気もしてしまいますね(こういうのがオリジナルっぽさではありますが)





"TMAC"
 こんなところにも"TMAC"と刺繍でロゴが入っており,本当に手の込んだモデルだなあとしみじみ思います

 結構考えられているようで,このY字ストラップの間という少し窪んだ位置が良いんですよね…この位置だからこそダメージを受けずに済んでいたりします

 このTMACロゴの下に見えるパーツが新形状のTorsion System(トルションシステム)です(後述します), そのトルションシステムの中にウッドパーツが配置





凝ってます
 インソールにはT-MACのオートグラフとアウトソールパターン

 現在の復刻モデルではこのデザインが省かれており残念, 黒地にパフォーマンスロゴだけというシンプルばものになっています(しかも滑る)





横からのデザインも良し
 ミッドソールは"C.M.E.V.A."

 クッションはフロントに"adiPRENE+(アディプリーンプラス)"


强拆办第二期:adidas T Mac 5强拆报告
 解剖してみるとフロントクッションのアディプリーンプラス(adiPRENE+)の大きさがよく分かりますね


强拆办第二期:adidas T Mac 5强拆报告
 厚みはそこまでないものの,これはこれでアリだと思えるクッションの質感

 アディプリーンプラス(adiPRENE+)はやはり強い反発を感じます





未だにそれなりのグリップ感です
 アウトソールは "Multi Directional Herringbone Tread Pattern (マルチディレクショナル ヘリンボーントレッドパターン)"

 母指球エリアにはT-MACロゴ, 土踏まずに空いたホールからはヒールカウンターに使われていたウッドマテリアルが覗いて見えています


强拆办第二期:adidas T Mac 5强拆报告
 各パーツ写真, 中央に置かれている変形X形のようなパーツがシャンクプレートであるトルションシステム

 かなり不思議な形状ですが, 厚みがあり強度はかなりあります





重い!マジで重い
 29cm(US11)で533g(18.8oz)










adidas T-MAC 5 OVERALL
 こんなもん今更レビューすんじゃねえカス!誰も知らねえんだよ!!と言われてしまいそうですが許してください…

 本格的なパフォーマンスレビューというより「この年代のシューズを振り返ろうぜ!」という側面の方が大きいです, T-MACシグが大好きだったもので… T-MAC 5を知っている人,好きだった人に届けこの思い

 2005年のオリジナルなのでもう15年近く経つ(!)シューズを未だに履いているわけですが,普通に考えるとこれは結構すごいことだなあと

「これが  "T-MAC"  だろ」
 もちろん大事に履き,手入れもしていますが,それは自分が持つシューズはT-MACシグネチャーに限らずそうなので,ここまで年数経っても履き続けられるのはもうそれが価値という気がしてきます

 いま現在リリースされている最新シグネチャーでここまでの耐久性があるか?15年後も履き続けられるのか?

 これがビジブルエアであればとっくに割れたり加水分解しているはず, メッシュやプライムニットであれば穴が空いてほつれているはず, ハイパーフューズなどの圧着合成素材であれば,黄ばんで汚れて目も当てられない状態になっているはず

 これがレザーアッパーの長所といえるかと,単純にすごいことだと思います(とはいえインスタ等では加水分解したと言っている人もいるので自分の所持する数足のT-MAC5ももう限界スレスレなのかも)





レビューになってないレビューですがお許しを
レビューの評価とかはもう眉唾というか,旬を過ぎたシューズではあるのであまり参考にしない方が良いかも知れません

 そもそもオリジナルはもう手に入らないでしょうし,いま復刻されている(これから復刻される)モデルは今回レビューしたモデルとは前述したように仕様が異なりますから…今回書いたいろいろなことは単なる老害スニーカー好きの独り言として読み飛ばしてもらった方がいいかと

 新旧比較の画像も載せましたが,adidasは他モデルでもそうなのですが復刻でこういう簡易なアップデートをこっそりやっているパターンが多いので天然PROTROのような感じになっています

 逆に言えばオリジナルに忠実なモデルはもう手に入らない可能性が高いのですよね,それはそれで残念

 T-MAC 5はまた復刻の噂もありますが日本国内販売はまたスルーされるようで残念…そろそろ販売してほしいところ

 とはいえ忠実なオリジナル復刻ではない"TMAC Millennium"でも良いですしadidasの遺産ともいえるT-MACシグネチャーを履いてみましょう!!










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